
良さを見つけ、その良さが伝わるデザインをする
僕の仕事は、あるモノが持つ良さを見つけて、その良さを形にして社会に送り出すことです。僕が今までに社会に送り出したモノには、携帯電話などの様々な製品の他、会社や大学のロゴ、病院や幼稚園の建物などがあります。人が自分自身の長所や短所を認識することが意外と難しいように、会社の中の人には、会社の外側から見た自分の会社の良さがなかなか分からない。だから僕は、会社の人とも話をし、また、会社の外からも会社のことを見て、その会社が持つ本当の価値を見つけ出す。見つけたら今度は、その価値が多くの人に効率的に伝わるようなデザインを考える。そして、そのデザインを形にしていきます。
多くの人が共通していいと思うデザインを見つけだす
デザインを依頼されたら、まずデザインの対象となるモノについて、一人で考えて自分なりのイメージを持ちます。それから依頼主と話しをします。さらに、デザインの対象が僕にとって馴染みがないモノの場合には、そのモノについて時間をかけて勉強します。例えば、以前幼稚園を作った時には、その幼稚園に何度も通い、園長先生と話したり、子どもたちの様子を半日くらいずっと見たりもしました。他にも全国の幼稚園を10園くらいも見て回りました。そうしているうちに、こうしたらいいんじゃないか、というようなデザインのアイディアが湧いてきます。それから、具体的なデザインを決めていきます。好みも生活も違う多くの人が共通でいいと思うようなデザインを、これまでに湧いてきた様々なアイディアを元にして見つけ出していくのです。
思い描いたイメージを正確に形にする
僕は、頭の中に浮かんできたアイディアを絵に描いて表現していきます。商品のロゴなどは、こういうものを作ろう!と決まったら、パソコンを使って線のわずかな角度や色の配色まで、少しずつちがう見本を大量に作ったりしながら、思い描いたイメージを正確にデザインとして表現していきます。また、パソコンの中だけでは形にできないモノの場合には、建物の場合は建築家、携帯電話の場合は電気機器メーカの人など、その道の専門家の人に僕が思い描いたイメージを伝えて、その人たちに形をつくってもらいます。この段階での僕の仕事は、野球やサッカーの監督みたいなものですね。ミリ単位のとても細かいことにも目を配りますし、思い
気持()ちが前向()きになる「驚()き」
僕()は、僕()の関()わった製品()を受()け取()った人たちの気持()ちが前向()きになるようなことをやりたいと思っています。デザインはある種()の「驚()き」がないと人には伝()わらないものです。「かわいい」「かっこいい」という印象()は、今までになかったという「驚()き」だと思うんです。その「驚()き」が人の気持()ちをウキウキしたものにするんですね。だから、人を嫌()な気持()ちにさせるような方法()で驚()かすことはやりません。人をポジティブにできるような「驚()き」をいつも考えているんです。
たくさんの嬉()しい瞬間()
時間をかけながら多くの人がいいと思うデザインを見つけ出すことができた時にはやはり達成感()があります。自分だけでなく一緒()に仕事()をしている人たちも同じように「それはいける!」と感()じてもらえた瞬間()もいいですね。また、形のないアイディアが、実際()に立体になったり空間になったりと形になり始()めた時は、おぉ~!って思います。この感覚()がないとデザインが成功()しているとは言えないですね。でも、まだこの時は形になる途中()の段階()なので、同時にもっと良()くならないかという改善点()も探()しているんですよ。もちろん、出来上がったモノが世()の中()に出て、多くの人がその製品()を買ってくれたり、ブログで話題()にされていることを耳にするのも嬉()しいです。僕()がいいと思ったものが人を喜()ばせたということですからね。
真()っ白()い紙を見るとわくわくする
子どもの頃()から絵を描()くのが大好()きで、真()っ白()い紙を見るとわくわくしました。何もない白い紙に絵を描()くということは、そこに新しい世界()を創()り出()すということ。頼()まれてもいないのにどんどん絵を描()いていました。それがいい練習()になり、絵が得意()になり、ごく自然()な流()れで美術()大学に入って、そのままデザイナーの仕事()に就()きました。「絵」という平面()には、何の制限()もなく自由()に新しい世界()を生み出すことができます。それがずっと魅力()的()でした。今でも白い紙を見るとわくわくします。だから僕()の仕事()は今も絵が基本()。立体は作ろうと思っても物理()的()に不可能()なことが出てきてしまいますが、平面()は自由()。表現()できる可能()性()は無限()。だから僕()のデザインは自由()に何でもできるんだと思います。
誰()かを喜()ばせることが描()き続()けるエネルギー
子どもの頃()は絵をたくさん描()いていましたし、毎日外でも遊()んでいました。大人しいというより、むしろエネルギッシュな子どもでした。夜遅()くまで起()きて絵を描()いたり、休みの日に1人でお弁当()を持()って出かけ、大人にまじって写生()をしたりしていました。また小学3、4年生くらいになると漫画()のキャラクターを上手に描()けるようになっていて、友達()に頼()まれて、みんなのノートにそのキャラクターを描()いたりなんかしていました。行列()ができるくらいだったので、自分がやっていることが喜()ばれている!と感()じていたのでしょうね。上手くできていても誰()にも喜()んでもらえなかったら、つまらなくなって絵を描()くことをやめていたかもしれません。
自分の良()さを見つけてみよう。
自分で、自分の良()さを見つけるのはとても難()しいことです。だからこそ自分でじっくりと考えてほしいです。同じ人間は二人と存在()しないわけですから、その人にしかない独特()なものが最初()からあるはず。「良()さ」を探()すのが難()しすぎれば、自分は何が好()きで、どこがいいところなんだろうと考えてみてください。パッとは見つからないと思いますが、ちょっとでも見つかると楽しいですよ。
取材・原稿作成:あしたね取材チーム